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IP BASEコラムの内容(その2)

知財部員は、花見の達人

 前回のコラム「知財とは花見の場所取りである」にて、知財戦略を花見の場所取りに例えてご紹介いたしました(リンク)。これまでの知財に対する活動が、花見の場所取りとして上手く機能していたかを、ぜひ振り返っていただきたいと思います。ひょっとすると、その場限りの知財活動となってしまっていた、という方もいらっしゃるかもしれません。もしくは、これから知財活動をしていきたいが、どのように進めるか不安という方もいらっしゃると思います。
 花見の場所取りの陣頭指揮をとる人材は貴社にいらっしゃいますでしょうか。企業において、花見の場所取りの陣頭指揮をとるのが、「知的財産部」もしくは知的財産部機能を担う「知財人材」になります。

〇知的財産部と弁理士の連携により特許の質が高まる
 知的財産部は、花見の場所取りのための専門部隊です。多くの企業が知的財産部を自社に持つのは、少しでも綺麗な桜の木の下に、少しでも大きくブルーシートを広げたいからに他なりません。
 ここで、知財専門家といえば、真っ先に弁理士を思い浮かべる方も多いかと思います。実は、弁理士と知的財産部では担っている機能が異なります。ざっくりと説明しますと、次のような違いがあります。
(知的財産部)
 綺麗な花の咲く桜を経営陣や開発者とともに見つけていきます。見つけた桜の木の下にどの程度の範囲でブルーシートを広げられるかを見極めます。そして、どのような順番でブルーシートを広げていけば、ビジネスを有利に進められるのかを検討し、戦略を立案します。戦略に基づいて弁理士とともに、実行に移していきます。
(弁理士)
 知的財産部から提示された戦略をブラッシュアップし実行に移します。ブラッシュアップとは、例えば、特許法に基づいて文言の修正を行うだけでなく、よりブルーシートを広くするための方法などを提示します。そして、花見の場所取りの管理人である特許庁に提出する申請書の作成を行います。

 このように、知的財産部と弁理士は担っている機能が異なります。「綺麗な桜の木の下に、広大なブルーシートを広げる」、換言しますと「ビジネス上重要な独自技術・アイデアを広く特許で保護する」ためには、知的財産部と弁理士が相互に連携して知的財産活動を進める必要があるのです。

〇知的財産部(知財人材)が必要
 これまでの話を総括しますと、「特許の質」を高めるためには、知的財産部(知財人材)が必要です。しかし、知財人材を確保するのはスタートアップにとって難しいのが現状です。知財人材の流動性が低いというのも理由の一つですが、知財に関する業務がそこまで多くないというのが最大の理由です。そのため、多くのスタートアップは知財部機能を社外に委託することが現実解となります。
 知財部機能を社外に委託する際は、どのような人材を探すのが適切なのでしょうか。知的財産部機能を社外に委託するならば、企業の知財部としての経験を重視すると良いと考えます。理由は前述の通り、企業の知的財産活動において、知的財産部と弁理士の担っている機能が異なっているからです。そのため、弁理士は知財の専門家ではあるものの、知的財産部の専門家ではないケースが多いのです。これは、弁理士のキャリアからも容易に推測できます。弁理士の多くは、理系の大学を卒業し、研究開発職として就職します。その後、難関資格に合格し、研究開発職から知財の専門家である弁理士に転身するのです。その結果、花見の場所取りの“実行”は多く経験していたとしても、企業の知的財産部として花見の場所取りの“戦略の立案”経験が少ない(または一切ない)人が多いのです。

 ご説明した通り、「特許の質」の高めるためには、花見の場所取りを“戦略的”に“実行”する必要があります。スタートアップの皆様は限られた予算で知財活動を行う必要があります。そのため、“実行”の観点だけでなく、“戦略的”という観点を意識して質の高い知財活動を行うようにしていただきたいと思います。

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