スタートアップ必見!特許関連費用が安くなりました
従来から中小企業等は特許料や審査請求料が大企業に比べて優遇されていました。しかし、中小企業等に該当することを証明するための多くの書類を準備する必要がありました。例えば、「資本金の額」、「従業員数」、「業種を証明する書類」の提出が必要で、登記簿謄本や雇用保険の写し、会社パンフレット等を準備していました。そして、これらの手続きを含めて特許事務所に依頼した場合、特許事務所の手数料がかかり結果として優遇されるはずだった金額の半分程度しか利益を享受することが出来ませんでした。手続きが面倒なのに費用の半分程度しか減免がない、このことから中小企業等に該当していても優遇措置を使わない企業も多かったようです。
新減免制度はとても使い勝手が良い
特許庁は、新たな減免制度を2019年4月1日以降の出願審査請求や国際出願に適用することとしました(特許庁のHPへのリンク)。
この新減免制度の素晴らしい点は、中小企業等に該当することの証明書類の提出が不要となっている点です(特許庁から提出を求められた場合は提出の必要あり)。そのため、新減免制度を利用する場合は、出願審査請求の書類や特許料納付の書類に「特許法施行令第10条第〇号〇に掲げる者に該当する請求人である。減免申請書の提出を省略する。」と記載するのみです。
減免される額は最大で▲2/3(67%OFF)
減免される額は、出願人の種別によって変わります。例えば事業開始から10年未満の個人事業主や設立後10年未満で資本金が3億円未満の法人の場合、中小ベンチャー企業(法人・個人事業主)に種別され、出願審査請求と10年目までの特許料の2/3が減免されます(諸条件は特許庁HP参照ください)。出願審査請求は13万8千円+請求項数×4千円ですから、例えば請求項数が3つの出願の場合は15万円が5万円になります(10万円の減免)。また、特許権を10年間維持した場合の特許料も同様に請求項が3つの場合は、約17万円が約5万7千円となります(11万円強の減免)。これらの減免を合計すると約21万円強となり、無視できない金額となります。
減免は多くのスタートアップが適用対象
スタートアップ企業の中には、シリーズAやシリーズBの資金調達を行い資本金や出資金の額が数億円となっており、上述した中小ベンチャー企業に該当しないという企業も多くいらっしゃいます。しかし、その多くの企業が特許庁の分類だと中小企業に該当し1/2の減免を依然として受けることが出来ることを知らない場合があります。
特許庁の定義する中小企業とは、ソフトウェア業や情報処理サービス業といったIT企業の場合は、
「従業員300人以下、または資本金(出資金総額)3億円以下」
かつ、
「大企業の支配下にないこと」
とされています。
いかがでしょうか?多くの独立系ITスタートアップ企業は従業員300人以下に該当するのではないでしょうか?
減免の提案をしてくれる特許事務所と付き合いましょう
特許事務所にとって、従来の減免申請は手間の割に手数料が安い手続きでした。そのため、中には提案すらしてくれない事務所もありました。しかし、特許庁の中小企業(スタートアップ)支援策により、現在は出願人が特許法施行令第10条のどの企業に種別されるかを判断し、記載するのみで減免を受けることが出来ます。このように、簡易な手続きで大きな減免効果を得られる手続きを提案してくれないというのは、クライアントの立場にたって物事を考えてくれない特許事務所である可能性が高いです。または、減免の提案をしてくれたとしても、過去の減免申請と同じだけの手数料を請求する事務所も同様です。
事務所選びも知財部の仕事
実力のある特許事務所というのは、知財経験がある程度長くないと判別することが出来ません。大手の特許事務所だから、近くの特許事務所だから、という理由だけで特許事務所を選んでしまうと苦労して開発した技術を知財で守ることが出来ていない場合があります。どの特許事務所を選んだらいいか分からない。そんな時は、当社のように知財部機能を提供している企業に選定を依頼するのも一つの方法です。コミュニケーションが取れる事務所の選定や、業界・方針に合わせた戦略を策定し特許事務所と企業とのコミュニケーションをより円滑にいたします。