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AI vs 弁理士 商標調査対決

 10月10日にタイトルのようなAIと弁理士の対決が行われました。とても興味深いイベントであり、私も予定を調整して観客として聴講してまいりました。

 結果等は、他の方も記事を書かれていますのでそちらをご参照いただければと存じます(リンク)。当ブログでは私の感想を述べさせていただきます。

AIが弁理士にとって代わるのはまだ先

 今回の対決の結果だけを見ると、AIと弁理士の成果は僅差となっています。しかしながら、それは「調査」という限られた業務の中であり、商標登録出願には指定商品・役務の選択、記載方法、戦略(類似の範囲まで考慮した権利の取り方)等々多くのノウハウや経験が必要な業務があります。

 また、商標登録出願の審査は、審査基準や過去の審決例等を踏まえた審査官による拒絶の可能性の検討や、最終的に登録される可能性を考慮しながら手続きを進めていくものとなります。

 すなわち、直感で似ている似ていないと判断しているわけではなく、審査基準や過去の審決(特に有名なものを中心に)に基づいて判断をしていくものになります。AIに教師データとして提供されているものは、その結果だけを見ているのみであり、そのココロの部分までは学習させることが出来ません。同じ商標が仮に出願されれば、同じ判断を下せますが過去に判断されたものと同様の類型に当てはめながら、判断を下すことは現状では出来ないようです。

 そのため、結果は僅差ではありましたがその実力が僅差であるというわけではないと感じました。

AIは弁理士をサポートしてくれる

 上記のように、AIは現状弁理士の代わりにはなりませんが、弁理士の業務をサポートしてくれるのに役に立つと感じました。例えば、拒絶の際に引例の類似群と出願商標の指定商品・役務の自動対比を行って重複部位を一瞬で見える化したり、指定商品・役務の選択を類似の出願から提案したりといったことは人間がやるよりもAIが行った方が早くそして正確であり、弁理士の心強いサポーターになるかと思います(AIというよりRPAといった感じですが)。

今後の進化に期待

 人間が行わなくて良いところは、AIに任せるという流れには大賛成です。定型の書類作成や調査など、AIが得意な部分はもっと任せていきたいと個人的には考えています。人間でしかできない付加価値の部分、弁理士の能力をもっと活かした業務、に多くの時間を使えるようAIの今後の進化に期待しています。

 最後にこのような時代を切り拓くイベントを企画してくださった皆様に感謝申し上げます。

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