商標の早期審査を活用しましょう
商品名やサービス名について商標出願をしたあとの手続きの流れは下記のようになることが一般的です。
出願 ⇒ 審査 ⇒ (拒絶理由通知) ⇒ 登録
そして、審査は基本的には出願順に行われます。2019年3月現在に出願した場合の審査にかかる時間は約10カ月と特許庁より公表されています。
審査着手時期の目安については、特許庁HP(リンク)でご確認いただけます。
この10カ月という期間を皆さんはどう思われますか?
「おぉ、特許庁頑張っているなぁ。僅か10カ月で審査するとは。」
と思われる方は少数かと思います。通常は出願したらできるだけ早く審査結果が欲しい、商標権が欲しいと思われるのではないでしょうか。
早期審査という手があります!
そんな時、早期審査という制度を使うことによって、審査にかかる時間を最短2カ月程度に短縮することができます。
もちろん、順番を繰り上げて審査をしてもらうわけですから、無条件で早期審査が可能というわけではありません。早期審査の対象となるためには、次の3つの対象のどれかに合致する商標出願である必要があります。
対象1
対象(1)出願人(ライセンシー)が、出願商標を指定商品・指定役務に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、権利化について緊急性を要する出願
※「権利化について緊急性を要する出願」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
- a) 出願商標について、第三者が無断で使用している(使用の準備を相当程度進めている)場合
- b) 出願商標の使用について、第三者から警告を受けている場合
- c) 出願商標について、第三者から使用許諾を求められている場合
- d) 出願商標について、出願人が日本国特許庁以外の特許庁又は政府間機関へも出願中である場合
- e) 出願商標について、出願人がマドリッド協定議定書に基づく国際登録出願の基礎出願とする場合
※特許庁HPより抜粋(リンク)
このうち、最も早期審査の条件を満たしやすいのは、e)記載の国際出願の基礎とする場合であると思います。ただ、外国に出願をする企業以外はなかなか使いづらいかと思います。
対象2
対象(2):出願人(ライセンシー)が、出願商標を既に使用している商品・役務又は使用の準備を相当程度進めている商品・役務のみを指定している出願
要は、指定商品・役務の「全て」で出願商標を使用しているということが必要です。多くの場合、実際に使用している商品・役務以外にも同区分でいくつか指定しているかと思います。そのため、同じ料金で多くの指定商品・役務に係る商標権を取得したい人には不向きです。また、指定商品・役務全てに対して使用証明を提出する必要があるため、手続きが煩雑となります。
対象3
対象(3):出願人(ライセンシー)が、出願商標を指定商品・指定役務に既に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願
この対象3が一番のおススメです!要は、指定商品・役務の「一部」で出願商標を使っていること&指定商品・役務が特許庁の公式商品・役務であることです。
どうですか?この対象3は他の2つの要件に対してかなりハードル低めですよね。
早期審査を請求可能な指定商品・役務の選び方
次に、早期審査を請求可能な指定商品・役務の選び方についてですが単純に下記基準に合致する指定商品・役務を選べば問題ありません。
※「類似商品・役務審査基準」等・・・類似商品・役務審査基準、商標法施行規則、商品・サービス国際分類表(ニース分類)を指します。
ただ、これらを参照しながら指定商品・役務を選ぶとなると自己出願は難しいかもしれません。しっかりと施行規則や国際分類表を参照しつつ選ぶ必要があるためです。
そのため、早期審査をご希望される場合は専門家に依頼することが無難です。自社に知財部をお持ちの場合は、知財部に依頼するのも良い手だと思います。